20231108

 平日の昼過ぎ──。

 私はあたかも偶然そこに辿り着いたかのような足取りでジャンプショップに立ち寄り、目標まで寸分の狂いなく大股で近寄り、パッ、パッ、パッと対象物を全てをかごの中へ。こういう、推しの誕生日に推しの商品を買いに店舗に赴くこと自体が私の人生において初めての出来事で、まあ、なんとも脇汗がとまらない。
 平日からなにしてんだ。仕事しろ。なんて世間様から非難を浴びそうな中、レジに赴き魔法の呪文を唱える。

「あ、アクリルブロックありますか……?」

 あるに決まってんだろ。心の中で叫ぶも、店員さんは自分にツッコミ入れる私よりも私にやさしかった。

「はい(^_^) イレイザーですよね」
「は、はい。(あ、緊張しすぎて誰のが欲しいのかも言えてなかった。はずかち)」

 その後も会計をしながら、お姉さんは「イレイザーかっこいいですよね〜」「今日はお祝いですね〜」なんて嬉しい掛け声をかけてくれて、あなたは天使か、なんて思いながら「……はい」としか応えられなかった私をどうか許してください。

 帰りにデパ地下でケーキ買って、推しの誕生日をお祝いしたよ♡♡♡ ハァ、ハァ、幸せっ///

error: このコンテンツのコピーは禁止されています